Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lisez 月と手袋 (つきとてぶくろ) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 541 caractères · 80 écrans
二人連れではない。この辺は一人で巡廻するのであろう。
克彦は歩き出した。二十歩もあるくと、股野家の門であった。門の外に立って、二階の窓を見た。窓の押し上げ戸が音を立ててひらかれた。室内はまっ暗だ。カーテンをかき分けるようにして、人の顔がのぞいた。ベレ帽、太い鼈甲縁の目がね、白い大きな手袋、茶色のジャンパー。
白い手袋がうしろから彼の口を覆っていた。苦しそうにもがいている。そして、おさえられた手袋のすきまから、
「助けてくれ……」
という、しわがれ声の悲鳴がほとばしった。
克彦はハッとして立ちすくんでいる恰好をした。うしろから、駈け出してくる靴音が聞こえた。パトロールの警官にも、低い塀ごしにあれが見えたのだ。
「助けて……」
もう一度悲鳴が。しかし、その声は途中でおさえられた。そして、窓の人影は、白い手袋に引き戻されるように、室内の闇に消えてしまった。あとには、月の光を受けたカーテンが、ユラユラとゆれているばかりだ。
「あなたは?」
警官は門内に駈けこもうとして、そこに突ッ立っている克彦に不審を抱いた。美少年と云ってもよい若い警官だった。
「ここは僕の友人の家です。