Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lisez 月と手袋 (つきとてぶくろ) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 541 caractères · 80 écrans
「どうしたんだ。なにかあったのか」
「あたし、もう持ちこらえられないかも知れない。ズーッと尾行されて来たの。のぞいてごらんなさい。まだ門の前にウロウロしてるでしょう」
あけみの語調には、なにか捨てばちなものが感じられた。
克彦は寝室の窓のカーテンのすきまから、ソッと前の道路を見た。
「あいつかい? 黒いオーバーを着て、鼠色のソフトをかぶった」
「そうよ。花田さんの部下だわ。気がついたのは渋谷の駅なの。あたしと同じ電車に乗っていて、いっしょに降りたのよ。そして、姉さんのうちまでズーッと。あたし、あすこに三時間もいたでしょう。だからもう大丈夫だろうと思って、姉さんのうちを出ると、いつのまにか、あとからコツコツやってくるの。ウンザリしちゃったわ。こんなふうに毎日尾行されるんじゃ、やりきれないわ」
「神経戦術だよ。証拠は一つもありやしないんだ。こういういやがらせをして、僕たちが尻尾を出すのを待ちかまえているんだ。その手に乗っちゃいけない。相手の戦術なんだからね。こっちさえ平然としてれば、向うの方で参ってしまうよ」
「あなたはいつもそんなこと云うけれど、嘘を隠し通すって、ほんとに苦しいことね。