Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
げつめい
月明
豊島 与志雄
Lisez 月明 (げつめい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 772 caractères · 34 écrans
姉はいつまでも来なかった。
「海まで行ってみましょうか。」
その顔を何気なく見上げると、白々と月の光りに輝らされた中に、底光る黒目と赤い唇とが、まざまざと浮出して見えた。
彼は身体が堅くなるのを覚えた。静かな夜、月の光りの中に、彼女と二人で立ってることが、息苦しくて不安だった。余りに目近く彼女の側に居ることが、しみじみと胸にこたえて、身の動きが取れなかった。それを、黙ったまま歌も歌わないで、彼から追っつかれるのを待つかのように、ゆっくりと足を運んでる彼女の後ろ姿が、ぐいぐい引きつけていった。黒い髪のはじから覗いてる耳朶の下に、四五筋のほつれ毛がそよいでいた。
松林の影にはいった時、波音が俄に高く聞えてきた。足下の草は露に濡れていたが、松の梢はかさかさ乾いていそうな夜だった。
暫く行くと、その向うの左手に、四五本の雑木が、こんもり蹲っていた。彼ははっとしたが、足を止めるまもなく、先日の提灯はもう無くなってることを知って安堵した。
と同時に、ぱっと明るくなった。薄暗い海を背景にして、なだらかな砂浜が浮き上っていた。見渡す限り広々として何もない、冴え返った月の光りが、降り濺ぐように一面に落ちている。