Classiques japonais avec furigana
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きのこせっぽう
木の子説法
泉 鏡花
Lisez 木の子説法 (きのこせっぽう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 107 caractères · 34 écrans
――町のちゃら金の店を覗くと、出窓の処に、忠臣蔵の雪の夜討の炭部屋の立盤子を飾って、碁盤が二三台。客は居ません。ちゃら金が、碁盤の前で、何だか古い帳面を繰っておりましたっけ。(や、お入り。)金歯で呼込んで、家内が留守で蕎麦を取る処だ、といって、一つ食わしてくれました。もり蕎麦は、滝の荒行ほど、どっしりと身にこたえましたが、そのかわり、ご新姐――お雪さんに、(おい、ごく内証だぜ。)と云って、手紙を托けたんです。菫色の横封筒……いや、どうも、その癖、言う事は古い。(いい加減に常盤御前が身のためだ。)とこうです。どの道そんな蕎麦だから、伸び過ぎていて、ひどく中毒って、松住町辺をうなりながら歩くうちに、どこかへ落してしまいましたが。
――今度は、どこで倒れるだろう。さあ使いに行く。着るものは――
私の田舎の叔母が一枚送ってくれた単衣を、病人に着せてあるのを剥ぐんです。その臭さというものは。……とにかく妻恋坂下の穴を出ました。
こんなにしていて、どうなるだろう。櫓のような物干を見ると、ああ、いつの間にか、そこにも片隅に、小石が積んであるんです。何ですか、明神様の森の空が、雲で真暗なようでした。