Classiques japonais avec furigana
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きのこせっぽう
木の子説法
泉 鏡花
Lisez 木の子説法 (きのこせっぽう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 107 caractères · 34 écrans
が、子の口と、母の胸は、見る見る紅玉の柘榴がこぼれた。
颯と色が薄く澄むと――横に倒れよう――とする、反らした指に――茸は残らず這込んで消えた――塗笠を拾ったが、
「お客さん――これは人間ではありません。――紅茸です。」
といって、顔をかくして、倒れた。顔はかくれて、両手は十ウの爪紅は、世に散る卍の白い痙攣を起した、お雪は乳首を噛切ったのである。
一昨年の事である。この子は、母の乳が、肉と血を与えた。いま一樹の手に、ふっくりと、且つ健かに育っている。
不思議に、一人だけ生命を助かった女が、震災の、あの劫火に追われ追われ、縁あって、玄庵というのに助けられた。その妾であるか、娘分であるかはどうでもいい。老人だから、楽屋で急病が起って、踊の手練が、見真似の舞台を勤めたというので、よくおわかりになろうと思う。何、何、なぜ、それほどの容色で、酒場へ出なかった。とおっしゃるか? それは困る、どうも弱ったな。一樹でも分るまい。なくなった、みどり屋のお雪さんに……お聞き下さい。
昭和五(一九三○)年九月