Classiques japonais avec furigana
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みいらのみみかざり
木乃伊の耳飾
国枝 史郎
Lisez 木乃伊の耳飾 (みいらのみみかざり) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 905 caractères · 12 écrans
(「時」はすべてのものを嘲笑う。されど金字塔は「時」を嘲笑う)――その金字塔が沙漠の上、五町の彼方に夕陽を浴び、黄金の色に煙りながら、厳しく美しく聳えている。
博士は暫時立っていた。駱駝を薦める埃及人の、うるさい呼声を聞き流して、暫時そこに立っていた。そして全く日が暮れた時、彼は旅館へ引き返えした。
明日の発掘を楽みながら、博士は寝に就こうとした。廊下に向かった巌丈な扉へ、錠をしっかり卸してから、沙漠に面した玻璃窓へも用心の為に鍵を支い、レースの窓掛を引いてから、虫捕香水を布団へ振りかけ、それで安心したと見え、蚊帳をくぐって寝台の中へ博士は体をスッポリと入れた。昼の疲労が出たから、博士は熟睡に直ぐ堕ちた。
斯うして幾時を経たろうか、博士は何事かに驚いて、深い睡からフト醒めた。最初に博士を驚かせたのは、室一杯に香料の匂が咽せ返える程満ちていることで、しかも其香は他でも無い、曹達と土瀝青と没薬とを一緒に混合た香であって、即、それは、数千年の昔古代埃及の人達が、人間の屍骸を湯灌する時使用した液体の香である。言い換えるとそれは埃及に於ける木乃伊の持っている香である。