Classiques japonais avec furigana
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きそおんたけのりょうめん
木曽御嶽の両面
吉江 喬松
Lisez 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) de 吉江 喬松 (よしえたかまつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 819 caractères · 32 écrans
ああ川は益田川の上流だ、家は濁川の湯だ、いよいよ飛騨の国へ来たのである。
急いで川の岸を伝って行くと、危い橋を渡って家の前へ出た。前も後も急峻な樹木の山、この山に挟まれ渓流に向った一軒家、木材だけは巌丈なものを用いて、屋根も厚く葺いてある。
「やあ、遅かったね。」と出し抜けに声がする。
驚いて見ると、左手の小屋の中からひょっくら頭を出した者がある。見ると先行者の一人である。
「早く来たまえ、好い心持だ。」近寄って見ると、かなり広い湯槽にいっぱい、上から竹樋で引いた湯が、ざわざわざわざわと溢れて流れている、アルカリー泉のようだ。
草鞋を脱ぎ、衣服をぬぎ捨てて急いで湯へ飛び込む。柔な温よかな心持、浴槽の縁へ頭を載せ足を投げ出していると、今朝出立して来た田原の宿、頂上の白雲、急峻な裏山などは夢のようになってしまう。
湯から出て、浴槽から直ぐ荒蓙を敷いた二階へ昇る。戸もなく、荒板の儘だ。四人は蓙の上へ裸形のまま休んでいると、上り口の方から、髪を無雑作に束ねた女の顔が出て、
「何か食べさっしゃるかね。」という、その歯は黒く鉄漿で染めている。
「何か喰べるものがあるかね、川魚でも。