Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
すだま
木魂
夢野 久作
Lisez 木魂 (すだま) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 668 caractères · 46 écrans
淋しい気持ちになって、狃染みの深い石ころの形や、枕木の切口の恰好や、軌条の継目の間隔を、一つ一つにジーッと見守らなければ気が済まないのであった……………………。
「お父さん」
というハッキリした声が聞こえたのは、ちょうど彼がそうしている時であった。
彼はその声を聞くや否や、電気に打たれたようにハッと首を縮めた。無意識のうちに眼をシッカリと閉じながら、肩をすぼめて固くなったが、やがて又、静かに眼を見開いて、オズオズと左手の高い処を見上げた。寂しい霜枯れの草に蔽われた赤土の斜面と、その上に立っている小さな、黒い人影を予想しながら……。
ところが現在、彼の眼の前に展開している堀割の内側は、そんな予想と丸で違った光景をあらわしていた。見渡す限り草も木も、燃え立つような若緑に蔽われていて、色とりどりの春の花が、巨大な左右の土の斜面の上を、涯てしもなく群がり輝やき、流れ漾い、乱れ咲いていた。線路の向うの自分の家を包む山の斜面の中程には、散り残った山桜が白々と重なり合っていた。朗らかに晴れ静まった青空には、洋紅色の幻覚をほのめかす白い雲がほのぼのとゆらめき渡って、遠く近くに呼びかわす雲雀の声や、頬白の声さえも和やかであった。