Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
そめきちのしゅぼん
染吉の朱盆
国枝 史郎
Lisez 染吉の朱盆 (そめきちのしゅぼん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 824 caractères · 35 écrans
と、もう姿が見えなくなった。岡八、屋敷へ忍び込んだのである。
その翌日のことである。
「兄貴家かえ」とやって来たのは、他ならぬ岡引の半九郎であった。
「昨日出たきり帰らないよ」
こういったのは岡八の女房、鳥渡仇めいた女である。
「兄貴としちゃァ珍しいね」
「私も心配しているのさ」
「で、矢っぱりご用でかい?」
「半九郎の奴に鼻あかせてやる、こういいながら出て行ったよ」
すると半九郎笑い出してしまった。
「アッハハハこいつァ面白え。少し兄貴も若耄碌をしたな」
「なぜさ?」とお吉――岡八の女房――怒ったようにきき返した。
「ナーニこっちの話でさ。……あそれじゃあ姐御、また来やしょう」
往来へ飛出したが吹出してしまった。
「あの物語りの謎解きをしようと、探ぐりに出たとはどうかしているよ。岡八の兄貴もヤキが廻ったなあ。そんな年でもない癖に」
その翌日のことである、またも半九郎尋ねて来た。
「姐御、兄貴はお家かね?」
「それがさ、半さん、どうしたんだろう、いまだに帰って来ないんだよ」
お吉の顔に憂色がある。
「へえ」といったが半九郎も、眉の間へ皺を寄せた。
「おかしいなあ、何んてえことだ」