Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りゅうえいひろくかつえぐら

柳営秘録かつえ蔵

国枝 史郎

Lisez 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 933 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

背後で優しく呼ぶ声がした。

「さあ一緒に帰ろうよ」

「うん、お杉坊か、さあ帰ろう」

こうは云ったが鬼小僧は、身動き一つしなかった。

お杉は驚いてじっと見た。黒襟の衣装に赤前垂、麻形の帯を結んでいた。驚くばかりのその美貌、錦絵から抜け出した女形のようだ。

笠森お仙、公孫樹のお藤、これは安永の代表的美人、しかしもうそれは過去の女で、この時代ではこのお杉が、一枚看板となっていた。身分は水茶屋の養女であったが、その綽名は「赤前垂」……もう赤前垂のお杉と云えば、武士階級から町人階級、職人乞食隠亡まで、誰一人知らないものはなかった。そうしてお仙やお藤のように、詩人や墨客からも認められた。彼女の出ている一葉茶屋、そのため客の絶え間がなかった。お杉はこの頃十七であった。

同じ浅草の人気者同士、鬼小僧とお杉とは仲宜しであった。

「お杉坊」と鬼小僧は物憂そうに、

「今日は一人で帰ってくんな。俺ら偉いことにぶつかってな、考えなけりゃアならないんだよ」

「妾も実はそうなのさ。それで相談をしたいんだがね」

「え、それじゃアお前もか? アッハハハ大丈夫だ。養母さんと喧嘩したんだろう。