Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらのみのじゅくするとき

桜の実の熟する時

島崎 藤村

Lisez 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 569 caractères · 222 écrans

Aozora Bunko

一頃は先生も随分奥さんを派手にさして、どうかすると奥さんの頬には薄紅い人工の美しさが彩られていることも有った。亜米利加帰りの先生は洋服、奥さんも薄い色のスカアトを引いて、一緒に日暮方の町を散歩するところを捨吉も見かけたことが有る。新築した家の方へ落着いてから、先生の暮し方は大分地味なものと成って来た。彼は浅い谷の手前から繁茂した樹木の間を通して、向うに玻璃戸のはまっている先生の清潔な書斎を、客間を、廊下を、隠れて見えない奥さんの部屋まで、それを記憶でありあり見ることが出来た。

「浅見先生の家へも、最早しばらく行かないナ」

と捨吉は言って見た。

この親しい家族の方へも彼の足は遠く成った。彼は先生の家の周囲を歩くというだけで満足して、やがて金目垣に囲われた平屋造りの建物の側面と勝手口の障子とを眺めて通った。

学窓をさして捨吉は高輪の通りを帰って行った。繁子が監督している小さな寄宿舎のあるあたり、亜米利加の婦人の住む西洋風の建物を町の角に見て、広い平坦な道を歩いて行くと、幾匹かの牛を引いて通る男なぞに逢う。まだ新しい制服を着て、学校の徽章の着いた夏帽子を冠った下級の学生が連立って帰って行くのにも逢う。