Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらのみのじゅくするとき

桜の実の熟する時

島崎 藤村

Lisez 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 569 caractères · 222 écrans

Aozora Bunko

学校の表門の側にある幾株かの桜の若木も、もう一度捨吉の眼にあった。過去った日を想い起させ、曽て自分の言ったこと為たこと考えたことを想い起させ、打消し難い後悔を新にさせるような人々が、もう一度捨吉の眼前を往ったり来たりした。

捨吉は既に田辺の家の方からある心の仮面を冠ることを覚えて来た。丁度小父さんの家がまだ京橋の方にあった時分田舎から出て来たばかりの彼は木登りが恋しくて人の見ない土蔵の階梯を逆さに登って行くことを発明したが、そんな風にある虚偽を発明した。彼は幾度となくそれを応用した場合を思出すことが出来る。そうした場合に起って来る自分の心持を思出すことが出来る。

小父さんの家の玄関へ来て取次を頼むという客の中には随分いろいろな人があって、その度に御辞儀に出たり名前を奥へ通したり茶を運んだりしたが、芝居の座主とか大札とかが飛ぶ鳥も落すような威勢で入って来ても、芝居茶屋のおかみさんの腰のまわりにどんな自慢な帯が光っても、傲然とした様子で取次を頼むという客が小父さん達と同国の人とかで東京へ一文も持たずに移住したものは数え切れないほどあるが、その中での成功者はまあ誰と誰とであろうというような自慢話を聞かされても、彼はそういう場合に極りで起って来る反抗心を紛らそうとして、まるで何の感じも無いようなトボケた顔をし