Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
Lisez 桜の森の満開の下 (つちのなかからのはなし) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans
彼は急に自分が嫌になった。自分が邪魔でやりきれなくなったのである。まるで煩い他人のように其処いらに煩い自分がふさがっていて、厭らしくうんざりした。考えてみると、自分という奴は全く行き当りばったりに思いも寄らないことばかりして、伊豆に会えばそれとなく自分も痴川を憎んでいるように暗示してしまったり、孤踏夫人に会えば自分は夫人をさも思い込んでいるように暗示したりしてしまうのであるが、現実の自分は、成程その思いは幾分あるにしても、決してそれを一途に思い込んでいるわけでない。それどころか、一途に思い込んだものといえば、実は何一つ無いのであって、考えてみるに、現在ばかりの話でなく過去の一生に於ても、嘗て自分は一途に思い込んだということが何一つとしてない。求むるところにのみ人の生存の生存らしいところもあるとすれば、彼は手もなく無存在というべきもので――別にそういう理窟からではないが、とにかく小笠原は自分がないような拠りどころない困惑を感じた。そのくせ、靄のようにとりとめもなく、それでいて変に頑強な行為がそこにあって、それが苛立たしいほど饒舌なものに感じられ、煩わしくてならなかった。