Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lisez 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 845 caractères · 86 écrans
「駄目だ。これは抜けない」
「アノもし、あたしが痛いといっても、それは本心じゃないんです」
「え、本心とは」
「あたしは生命をたすかるためなら、手の一本ぐらいなんでもないと思ってます。痛いとは決していうまいと思っているのに、手を引張られると、心にもなく、痛いッと叫んじゃうの。……ああ、あたしが泣くのにかまわず、手首を引張って下さい。そこから千切れてもいいんです。あたし、死ぬのはいや。どうしてもこんなところで死ぬのはいや」
女はオロオロと泣きだした。すべすべとした両頬に泪がとめどもなく流れ落ちる。
そのとき運命を決める最後のときがやって来た。いままでは、まだ大丈夫と思っていた火の手が、急に追ってきたのである。目の前の提灯屋の屋根瓦の隙間から、白い蕨のような煙が、幾条となくスーッスーッと立ちのぼり始めた。手首を挟まれた女は早くも迫る運命に気がついた。
「あッ、火がついた。この家に火がついた。――ああ、手がぬけない。焼け死ぬッ」
女は目を吊りあげ猛然と身を起した。そして力まかせに自分で自分の腕を引張った。
「あッ痛ッ。――あああ、どうしよう」
女は大きな失意にぶつかったらしく、ガバと地面に泣き崩れた。