Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やしがに
椰子蟹
宮原 晃一郎
Lisez 椰子蟹 (やしがに) de 宮原 晃一郎 (みやはらこういちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 116 caractères · 9 écrans
輪の内は浪がなくて、どんよりと青黒い水が幾千尋という深い海の底を隠しております。椰子蟹はまだこの深い底に行ってみたことはありませんでしたから、何がそこにあるか知りませんでした。ただ時々その青黒い水のどこからか、小さな金、銀、赤、青、黄など、さまざまの美しい色のお魚が、あわてて逃げて来ますと、すぐ後から、眼の凄い、口がお腹の辺についた、途方もない大きな鱶が、矢のように追いかけてきて、そこいらの水を大風のように動かします。鱶は椰子蟹には害をしません。けれどもそんな時には穴へ引込むものだよと、小さい時から母さまにおそわっているのでした。とにかくそれでみても、深い底には、とても思いもつかぬ不思議なものがいることが分ります。けれども椰子蟹はそんな下へ行く用事はありません。ただ上に行きさえすればよいのです。
蟹は穴を出て珊瑚岩をつたわって上りますと、もうそこはマングロヴの林です。潮が満ちたときは半分は隠れますが、潮がひいたときでも腰から下はやはり水の中にあって、小さなお魚がその幹の間に遊んでおります。
水を離れた蟹はお日様の熱ですぐ甲羅がかわいてしまいます。