Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くすのきのはなし

楠の話

豊島 与志雄

Lisez 楠の話 (くすのきのはなし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 820 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

また或る晩は、何とも知れぬ異様な声の獣が二匹楠の枝の上で戯れていた、ということも聞かされた。

五百戸許りの部落の中に在って、楠は高く天を摩すように聳えていた。遠くからでもすぐにそれと分った。私は小学校の帰りに、友人等と野の道を辿りながら、遠くからその楠を認めると、何とも云えぬ誇りを感じたものだった。

秋になると樫の実が沢山落ちた。軽い樟脳の匂いがする楠の落葉の中に樫の実を拾い廻ることも、私の楽しみの一つだった。

冬になって野山が一面の雪になると、餌を失った小鳥は四方から楠の茂みを目指して飛んで来た。其処には、彼等の身を蔽う枝葉と彼等の食となる楠の実が在った。

父は銃を持ってよくその小鳥をうった。銃は旧式で、銃身が非常に長く重かった代りに、着弾距離が極めて大だった。その上父は甞て近衛の聯隊に居たことがあって、射撃に巧みだった。楠の梢に居る鳥を、少しの隙間から父はよく撃ち落した。鶫や鳩の類が沢山とれた。ただ、烏と小さな目白の類とを、父は決して撃たなかった。

どうかすると、片方の翼だけ弾に当って落ちて来る鳥もあった。鳥は他方の翼と足とで藪の方へ逃げて行った。