Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

物ですか」と訊いた。主人役の半左衛門や、接待していた人たちが、驚いてとめようとしたが、なかのすばしこさに、それもまにあわなかった。

「そうさな」と代官は本尊仏を見て、仔細らしく答えた、「阿弥陀さまのようだが、それともお釈迦さまというかな」

「違います」となかが云った、「これは木を彫って色を塗った物です」

「よしよし」と代官は笑った、「それでは木を彫って色を塗った物だとしよう」

「それなのに、どうして人が拝むんですか」

父の半左衛門はたまりかねて、叱ったり、乳母を呼んで向うへつれてゆかせようとしたりした。代官は笑ってそれを押し止め、いかにも考えぶかそうに云った。

「それはむずかしい話だが、そうさな、つまりそれは木を彫って色を塗っただけではなく、阿弥陀さまの姿をしているからじゃないかな」

なかは上眼使いに代官を見て、こくっと頷き、よくわかったという顔つきをすると、黙って本尊仏を持ってその場から去った。どうしてあんなことをしたのかと、あとで父親に訊かれたとき、同じ人間なのにみんなが代官にぺこぺこする、どっちも人間に変りはないのに、どうしてだろうと思ったからだ、となかは答えたそうである。