Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

浪人生活からぬけ出せたことがよほどうれしいのだろう、茶を味わうようすまでいかにもたのしそうに見えた。

その客を済ませたあと、宿の内所で女中たちと話していると、角庄から呼びに来た。これも馴染で、去年の春にいちど呼んだことがあるそうであった。さわは呼びに来たおようという女中といっしょに、角庄へまわった。座敷へいってみると、その客には覚えがあった。去年の春かどうかは忘れたが、中年のひどく気むずかしい人といっしょで、としは三十くらいだろうか、伴れの気むずかしさに反して、温和しく無口なようすが印象に残っていた。

「有難うございます」呼ばれた礼を述べてから、さわが訊いた、「こんどはお独りでございますか」

「そうか、去年は伴れがありましたっけね」客は微笑した、「あの男は病気で来られなかったんです」

そして、自分は茶は不調法だから、悪いところは注意してくれ、と言葉少なに云った。茶の手前などどっちでもいいらしい、さわの顔をもういちど見たかった。できるなら話をしたい、というつもりで呼んだようであった。そんなそぶりがかなりはっきりうかがわれたが、さわも口べたなほうだし、相手はさらに無口で、――去年と同じように、なにか話しだしはするが途中でやめる、というふうだったから、どうにも話題がはずまなかった。