Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

「涌谷さま」と甲斐は叫んだ。

そこへ二の太刀が来、脇腹に火を当てられたような衝撃を感じた。

――そうか、雅楽頭、やったな。

甲斐はそう思った。そのとき、聴力の遠くなった耳の奥で、鹿の悲鳴のような声が聞え、甲斐の眼に「くびじろ」の姿がみえた。鉄砲の弾丸に当って倒れ、雪しぶきをあげながら、瀕死の声をあげたくびじろの姿が。そうして、その大きな牡鹿は、雪しぶきの中から甲斐のほうを見た。甲斐はその大鹿が、次のように呼びかける声を聞いた。

――そうだ、追う者と追われる者とに、同一の条件ということはない。

甲斐は激しく首を振った。首は床板を打ち、すると安芸の声が聞えた。甲斐はけんめいに頭をあげ、安芸の声のするほうへと、這い寄っていった。

仕手たちのうち三人は六左衛門を追っていた。蜂谷六左衛門はこの出来事を見ると、そのまま奥へ向かって走った。走ってゆきながら、「狼藉です、おであい下さい、狼藉です」と叫んだ。しかしすぐに追いつかれ、二人の仕手によって斬られた。

甲斐は安芸のそばへ這い寄っていた。安芸は片手で頸を押え、片手を前に突いて、辛くも身を支えていた。押えている手指の下から、多量の血があふれ落ち、それが袴をずっくりと濡らしていた。