Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans
達弥は「はい」といってさらに低く頭を垂れた。短い沈黙をぬって、こおろぎの音が、たえだえに聞えた。甲斐はしずかに云った。
「ではさがって寝るがいい」
達弥は静かに去った。
風邪が治って、甲斐が出仕した日に、小石川の普請場で事が起こり、評定役に検分を求めて来た。朝から雨が降っていたが、甲斐は上席なので、他の五人と共にでかけていった。
普請場には総奉行の茂庭周防が待ってい、自分で六人を案内してまわった。事というのは、工事の終った堤の一部が、五十間ばかり崩れて、初めからやり直さなければならなくなったのである。これは命ぜられた期日に遅れるばかりでなく、費用の嵩む点で、一藩にとって大きな打撃であった。
堀普請は伊達家にとってたいへんな重荷だった。
神田川の筋違橋から、西へ遡のぼり、お茶の水の堀、吉祥寺橋、小石川橋を経て、牛込御門、土橋に至るあいだ。それまで堀形のあったのを、浚って深く掘り下げ、船の運漕ができるようにするのだが、この長さ六百六十間。幅三十間。深さ二間半。掘りあげた土で、両岸の土堤を築くという、大きな工事であった。
高一万石について、土工人夫百人という積りだから、六十二万石で六千二百人。