Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

「彼のそばめだと思うか」

――それがはっきり致しません。

「はっきりしないとは」

――あの女は日本橋石町の、雁屋信助という海産物問屋の妹で、八年ほどまえから、湯島に家をもち、あの方がそこへかよっておられるのです。

「雁屋の娘か」

――御存じでございますか。

「雁屋は石巻から出た筈だ」

――いまの信助は二代めでございます。

「雁屋は石巻から出て、石巻にも店を張っている筈だ」

――石巻の店は弟の政吉がやっているということです。

「そうか雁屋の娘か」

「いや待て、それでは雁屋の年間あきない高をしらべておけ」

――いそぎましょうか。

「気づかれてはならんぞ」

――すぐ手配を致します。

「くみという女はそばめではないと思うか」

――まだ契りはない、と女が自分で申しております。

「女が自分でか」

――八年にもなるのにと、うらみ言を申しておりました。

「真実そのようか」

――湯島の家へはあの方の知友もしばしばゆかれますが、みんなそれを知っており、それを不審に思っているようでございます。

「あの男らしいやりかただ」

――それに、湯島の家は雁屋で買い、数寄屋の増築や、庭の造り変えなど、ずいぶん金をつぎこんだうえ、四人の召使をいれた家計も、ずっと雁屋でまかなっているようです。