Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

宇乃は思った。おじさまはお淋しい方なのだ。宇乃は甲斐の言葉をそのようにうけとった。自分に云ってくれた言葉とは思わず、甲斐が彼自身の心のなかを語ったのだというふうに。

「おじさま」と宇乃が云った、「宇乃はいつか、お国へつれていっていただけますのね」

「虎之助が八歳になったらね」

「宇乃はお国へつれていっていただきとうございますわ」

「二年たてばゆけるよ」

「坊もいっしょにか」と虎之助が云った。

甲斐は穏やかに笑った、「坊は重いな、これはずいぶん重いぞ」

「坊もいっしょにか」

「虎之助さん」と宇乃が云った。

甲斐は虎之助をおろした、「さあ、おじさんはもうゆかなければならない、また来るからな、坊、おとなしくしているんだぞ」

虎之助は黙っていた。甲斐は宇乃に云った。

「向うへつれておいで、また来るけれども、用があったら遠慮なく使いをよこすがいい、――ではあちらへおいで」

宇乃は弟の手をひいて、そこを去った。彼女はもっとそこにいたかった。甲斐のそばから離れずに、いつまでも彼と話していられればいいと思った。

まえにも、宇乃は甲斐を見たことがある。桜田の邸内で、いちどは着ながしのまま、一人で歩いていた。