Classiques japonais avec furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 361 caractères · 483 écrans
だから、やがて昨日の昼間ヴァローダ商会で私と春琴抄の話をしたハルヴァダン・ジャヴェリという従者の方が急ぎ足に私を迎えに来た時には私はもうすっかりムクれて、どうせ私は大した友達ではないでござんしょうよとばかりに拗ねて、頓には口もきいてくれなかった。
「決してこんなにお待たせするわけではなかったのですが、ちょっと面倒な事柄を持って来たものですから太子殿下も大変お気の毒がっていられるのです。さあ、どうぞ! このままお帰りになりましたら、あとで殿下もどのくらい御失望になるかわかりませんから」と私を谷崎潤一郎以上の文豪と尊敬しているジャヴェリは、極力怒れる私の心を宥めた。「さあどうぞ! どうぞ」とこの黒チャンに手を執られんばかりにして私は楚々と蓮歩を踏み出したわけなのであったが、東向きの三階四室ばかりはことごとく太子一行のために貸切りとなっているらしく、その一番突端の扉を今ジャヴェリが開こうとした途端、擦れ違いに中から出て来たのはそれが今まで話していたという、英国大使館の二等書記官なのであろう、やはり白麻の洋服にヘルメットを右手に抱え、夫人携帯の見上げんばかり丈高い紳士であった。