Classiques japonais avec furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lisez 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 77 492 caractères · 156 écrans
と礼をのべた。
「そんなに出したかね」
芳江は返事に困ったような表情で黙っていた。梶は特に自分を愛妻家だとは思っていなかったが、外国で一人の女人の皮膚にも触れなかったのを思い浮べると、なるほどその点では愛妻家の中に入れられるところもあるかもしれないと思った。しかし、梶がヨーロッパの婦人に触れなかった理由は特に妻を愛していたが故ではなかった。ただあのようなおどけたことをしている人間がいつでもそれ相当に苦心をして造った理窟(りくつ)に身を捧げているのが賛成出来なかっただけである。
「どうだ、君は日本人だというが、パリーの女は美しいだろう」
パリーで椅子を隣りにした外人が梶に訊ねたことがあったが、
「いや、日本の女はもっと綺麗(きれい)だ」と梶は答えた。
「それじゃ、踊り場へ行ったことがあるか」
「日本人は女や踊り場を好かん」
と梶は云うと、外人はびっくりしたように小首をかしげながら考えていたことがあったが、梶は今その顔をふと思い出すと突然面白くなって笑った。
「日本の女は外国の女よりもっと美しいと虚勢を張って云って来たが、どうして満洲からこっちへ這入(はい)って来ると、全く美しいのにびっくりしたね」