Classiques japonais avec furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lisez 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 77 492 caractères · 156 écrans
僅(わず)か半歳(はんとし)あまりにこのように人家の密集する都市の膨脹力(ぼうちょうりょく)を思うと、半歳の間の日本の変化も実はこれと同じにちがいないと梶は思って驚いた。家の掃除(そうじ)をさせている間、梶は久しぶりに一人市見物に出ていった。すると、あれほど大都会の中心を誇っていた銀座は全く低く汚(きたな)く見る影もなかった。
「これが銀座だったのか」
梶はしばらく街を見廻して立っていたが、寒そうに吹く風の中をモダンな姿で歩く人影も、どこの国の真似(まね)ともなく一種すすけた蕭条(しょうじょう)とした淋(さび)しさを湛(たた)えていた。梶は日本の文化は物の中側にある知的文化が特長だと常に思っていたが、しかし、外から見かけたこの貧寒さを取り除(の)けるためには、少なからざる虚栄心の濫費(らんぴ)をしなければ西欧に追っつけるものではなかった。内充して外に現れることが形式の本然であるならまだまだ日本の内側は火の車だと思った。
梶は友人をある会社に尋ねて今日から東京へいよいよ落ちつくことを報(しら)せにいった。この友人は幾つもの会社の重役をしていた上に関西の財界の大立物を親戚すじにひかえていたから、日本の財界の動きにかけては誰より確実な早耳を持っていた。