Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 724 caractères · 355 écrans
」
俊亮はまた苦笑しながら、
「あなたが故意に嘘をおっしゃったとは考えていません。判断のちがいだと思っているのです。」
「教諭が失言したというのは、たしかな事実ですが、それについてはどうお考えですか。」
「失言というお言葉が、実は、私には腑におちないのですが……」
「すると教諭の言ったことは正しいとお考えですね。」
「極めて正しい警世の言葉だと思っています。」
「警世のお言葉ですって?」
「そうです。国民が自分の判断力をねむらせて、権力に追随する危険を戒めた、警世の言葉だと思っているのです。」
「その奥に反軍思想があるとはお考えになりませんか。」
「そうは考えません。反暴力思想があるとは考えていますが。」
憲兵隊員が県の属官に耳うちした。すると属官がまた課長に耳うちした。課長は上気した顔をしてそれをきいていたが、二三度かるくうなずいたあと、何か決心がつかないらしく、じっと眼をおとして考えこんだ。すると平尾の父が、
「本田さん、いかがでしょう――」
と、気づまりな空気をほぐすように、いかにもわざとらしい、くだけた調子で言葉をはさんだ。
「問題の根本の見方については、いろいろ意見もありましょうが、さきほどあなたご自身でもお認めのとおり、血書とか血判とかいうことは、とにかくおだやかでありませんし、それに第一、知事さんを相手にしている