Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 724 caractères · 355 écrans

Aozora Bunko

「本田ア、ちょっとここまで来い。」

次郎は、しかし、立ちあがらなかった。立ちあがる代りに眼をそらした。

「おうい、本田ア――」

もう一度少佐が叫んだ。

「僕ですか。」

と、次郎は、はじめて気がついたような顔をして、少佐を見た。

「そうだ。ここでいいんだ。ちょっと来い。」

少佐はあごの先で窓下の地べたを指した。次郎はやっと腰をあげたが、いかにも無精らしくのそのそと歩き出した。

「呼ばれたら、いつも駈走だ。」

次郎が窓下に来ると、少佐は叱るように言ったが、すぐ笑顔になり、

「どうしてあんなところに一人でねころんでいたんだ。」

「ねむたかったからです。」

「ひるねか、ふうむ。」

と、少佐は上眼をつかい、まぶたをぱちぱちさせた。それから急に真顔になり、

「どうだ、感想は?」

「感想って何です。」

「掲示を見たんだろう、朝倉先生の。」

「見ません。」

「見ない?」

「ええ見ません。」

少佐はちょっと考えていたが、

「どうして見ないんだ。朝倉先生の退職の辞令が出たんだぜ。」

「わかっているんです。」

次郎の声は、いくぶんふるえていた。

「そうか、ふうむ――」

と、少佐はまた上眼をつかい、しばらくまぶたをぱちぱちさせていたが、急に窓わくに頬杖をつき、声をひそめて言った。