Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans

Aozora Bunko

だが、ほんの五六日も仂いているうちに、彼はもう絶望に似たものを感じはじめた。というのは、売場の酒は、特上、上、中、下と、四階段にもわけてあるのに、もとになる酒はほんの一種で、ただ水の割りかたをちがえてあるばかりだったし、それに、そのもとになる酒というのが、必ずしも一定した酒ではなく、始終銘が変っている、ということを発見したからである。彼は、それでも、最初それを知った時には、酒というものはそんなものかしら、とも思い、そっと仙吉にたずねてみたのだった。すると仙吉は、にやにや笑いながら、

「以前にはこんなことはなかったんですよ。何しろこの頃のように仕入れがうまく行かなくなっちゃ、こうでもするより仕方がないでしょう。」

そしていかにも皮肉な調子で、

「しかし、酒の味のわからない家では、今でも買いに来てくれるんですから、ありがたいものですよ。」

次郎は、そうきくと顔から火の出るような気持だった。そして、もうそれで何もかも見透しがついたように思い、仂く元気もなくなったのであるが、さればといって、僅か五六日でよしてしまう気にもなれず、朝倉先生に話してみたらどう言われるだろうか、とか、正木や大巻ではもう知っているだろうか、とか、いろんなことを考えながら、相変らず手伝うことだけはやめずにいた。