Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans
そして、年三回刊行される校友会の文苑欄には、きまって彼の名が見出されるようになり、たいていの生徒は、「本田白光」という彼の筆名を覚え、文芸に興味をもっている上級生の一部では、彼を天才視するものさえあったのである。
彼の日記のなかで、分量からいっても、内容からいっても、最も目立っている部分は、何といっても白鳥会を中心とするものであった。彼の白鳥会に対する心酔ぶりは――それは朝倉先生に対する心酔ぶりといった方が、一層適切であるかも知れないが、――ほとんど無条件的で、実は彼の筆名も、最初は「白鳥」の二字をそのまま使っていたのであるが、恭一に、それではあまりあからさま過ぎると言われ、すいぶん考えた末、やっと「白光」とあらためたくらいだったのである。また彼は、自分の手で、心ゆくまで白鳥会を礼讃した詩を書き上げたいという野心をさえ、人知れず抱いているのである。
しかし、ごく最近の彼の日記は、さすがに、閉店にからんだ家庭のことが大部分をしめている。そしてその記述は、どちらかというと客観的であり、彼が、自分の周囲の現実を、出来るだけ落ちついて見究めようとする態度が、その中にかなり鮮明にあらわれて居り、同時に、彼が主としてどういう点で自分を反省しているかも、おおよそそれでうかがえるように思える。