Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans

Aozora Bunko

「兄さん、ここ温かいよ。」

と、もう一尺ほども藁をかぶっているような声だった。

「寝っちまっては大沢君にすまないなあ。」

そうは言いながら、恭一もたまりかねたと見えて、すぐ上って来た。

「ここだよ、兄さん。……二人いっしょの方がはやく温まるよ。」

次郎が藁の底から呼んだ。二人は抱きあうようにして寝た。すると、寒いどころか、しだいにむれるような温かさが藁の匂いといっしょに二人を包んだ。

「こんな旅行、面白いかい。」

恭一がしばらくしてたずねた。

「うむ、面白いよ。……だけどひもじいなあ。」

「僕もひもじい。こんなひもじい目にあったこと、これまでにないね。」

次郎には、しかし、ひもじいということに二通りの記憶があった。その一つは普遍のひもじさで、もう一つは、自分だけがおやつを貰わなかった時のひもじさだった。彼は、今でも、何かにつけ後の意味のひもじさを思い出す。「愛せられる喜びから愛する喜びへ」と心を向けかえたとはいっても、それはまだ十分に彼の血にはなりきっていなかったのである。で、つい、(僕は、もっとひもじい目にあったことがあるんだぜ)と、そんな皮肉を言ってみたい衝動にかられた。