Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans
」
大沢が、持っていた本を棚にかえし、自分の席にもどりながら答えた。
次郎と新賀とは、さっきからお辞儀をする機会を待って、もじもじしていたが、先生は、
「うむ、そうか。」
と、まだ立ったままで、羽織の紐をかけていた。
「こちらが新賀君、むこうは僕の弟です。」
恭一が先生の顔を下からのぞきながら紹介した。
「ほう。」
と、先生は、まだ二人の方を見ない。そして、やはり羽織の紐をいじくっていたが、やっとそれがかかったらしく、
「やあ、いらっしゃい。」
と、自分の座蒲団に尻をおろし、はじめてみんなとお辞儀をかわした。
次郎は、今日のことで、さっそく先生に何とか言葉をかけられるだろうと予期して、固くなって待っていた。しかし、先生は、ちょっと彼の顔を見て、
「おお、そうそう、君は本田の弟だったな。」
と、言ったきり、すぐ新賀の方に話しかけた。新賀は例によって問われることをはきはきと答えた。
「ほう海軍か。そりゃいい。一年の時からちゃんと志望をきめて、まっしぐらに進むのはいいことだ。」
先生は、それから、海軍の名高い人たちの逸話などを例にひいて、新賀を励ましたり、戒めたりした。