Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 443 caractères · 398 écrans
」
次郎は朝倉先生の机の上に書類をおくと、そう言って、いかにも得意そうだった。
「そうか。ふむ。」
と、朝倉先生は、何か考えていたらしい眼でちょっと履歴書のほうを見たが、すぐ机の引き出しをあけて、小さな紙ばさみにはさんだ一束の電報をとり出し、それを次郎のまえにつき出しながら、言った。
「しかし、残念ながら、この通りだ。」
次郎はいそいで電報に眼をとおした。おどろいたことには、十五六通の電報が、どれもこれも推薦団体からの志願取り消しの電報だった。志願者の数にして、もうそれだけで五十名近くになっていた。次郎は呆然となって朝倉先生の顔を見つめた。かれは、この五六日、頻々と塾長あての電報が来るのを知ってはいた。そしてそれが何か先生の身分にとって重大なことではないかという気がして、不安にも感じていた。しかし、こうした意味の電報であろうとは夢にも思っていなかったのである。
「おどろいたかね。」
と、朝倉先生はさびしく笑いながら、今度は一通の封書を、同じ引き出しから取り出して、
「あらましの事情は、これを見ればわかる。君にはなるだけ心配をかけまいと思っていたが、もうかくしておいてもしかたがない。