Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

Lisez 死までを語る (しまでをかたる) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 739 caractères · 85 écrans

Aozora Bunko

二十余年の昔

「文科へ行く」

とでも、云おうものなら

「文科て、文士か」

と、それこそ、何う叱られるか、わからない。私は、早大文科と決心していたが、一言も、この事は喋らなかった。だが、卒業すると、何うしても、次の学校へ行かなくてはならぬし、父の決心が悲壮であるから

「岡山へ行って法科を受ける」

と、云っていた。

「弁護士はあかん、官吏がええ、恩給がつく」

と、貧乏で、六十歳になっても、古着を背負って、電車の無い頃の大阪の隅から、郊外の遠くへまでも歩かなくてはならぬ父にとって、恩給という事が、何んなに有難く見えたか!

「しっかりやれ、人間も、恩給もらうようになったら楽や」

国を出奔してきてから、最高収入六七十円の父は、四十年間を、働きづめに働いてきて、猶働かなくては暮らせないのである。

だから、恩給恩給、と云うが、何んと私は、岡山へ行って、試験の日、半日、旭川で、ボートを漕いでいたのである。

最初の日に、数学が出なかったなら、私は受験したであろうが、初日が、数学なので

(こらいかん)

と、度胸をきめて、予定通り、試験を受けない事にした。河田屋敷という所に、友人と下宿していたが、ボートから見上げる城がいい景色なので、朝から正午まで、川にいて戻ってきた。