Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんだちどり

死んだ千鳥

吉川 英治

Lisez 死んだ千鳥 (しんだちどり) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 539 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

『墨江殿……』と、伏原はずっと寄って、いきなり彼女の手くびを握った。

『――未来の出世をお身に譲った男の願いを、お身も、かなえて下さるだろうな』

『えっ……』

さっと、色を失って、墨江が後退さると、

『卑怯な!』

と、伏原は男の力で息づまる程、その顔を抱きすくめた。

『男の未来を犠牲にさせて、この儘、戻ろうなどと考えておいでたのか。さりとは、浅慮な。……実を云えば、恥しいが、人妻のあなたに、この半蔵は日頃からやる瀬ない思いを焦していたのでござる。身共も、未来を捨てて、あなたに上げる物を上げた。――当然な事だ! 拙者もあなたから求めるものを求めるのだ!』

『……もしっ! ……もしっ! ……伏原様。……伏原様。いけません! ……待って、待って。良人のあるわたくしの身、良人に、良人に……』

×         ×

×         ×

薄暗い出合茶屋の店先では、奥の客を忘れたように、老婆の仲居と小女が、帳場箪笥によりかかって居眠りしていた。

『…………』

川風が、門暖簾を揺りうごかす。――その暖簾のすそに、そっと佇んだ草履が見える。

侍とみえ、革足袋を穿いて。