Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しにんのて

死人の手

田中 貢太郎

Lisez 死人の手 (しにんのて) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 533 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

旅人も気が丈夫になったので、おずおずと地炉の傍へ寄りました。

「どうした、どんなことがあった」と、主人は問いました。

「其処から蒼い手が出て、団子を執りました」と、旅人は恐る恐る死骸の方へ手をやりました。

主人は判ったと云うような顔をしました。

「いや、それは気の毒なことをした、小供が母親が死んだと云っても、どうしても聞かずにいっしょに寝ると云うから、寝さしてあったから、それが執ったものだ、何も怖いことはない」と、云って主人は起って往って、死人にかけてある蒲団をまくりました。

其処には死人の胸にだきついて、四つばかりの小供が睡っておりましたが、隻手には何か握っておりました。

「執ったなりに、喫わずに持っている」と、主人は悲しそうな声で云いました。

旅人はそれでも安心ができませんでした。

「それから他に何かあったかな」と、主人が云いました。

「縁側に腰をかけると、冷たい毛もくじゃらの手が足にかかりました」と、旅人は云いました。

すると主人は淋しい笑い声を立てました。そして、主人は縁側に往って、敷いてある簀子を剥いで、

「これだ、これだ」と云いました。

旅人は何んであろうかと思って、傍へ寄って往きました。