Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ははのじょうきょう

母の上京

坂口 安吾

Lisez 母の上京 (ははのじょうきょう) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 655 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

不満を書き送るやうなたちである。彼は愛情をもたなかつたが、かうして情婦ができてみると、女房の悪いところがよく分つた。けれども家柄が家柄で父母に対する重みがかゝつてゐるのだから、彼の不安懊悩は話の外で、いつそ日本の姿が消えてなくなれ、と考へてゐたものだ。

終戦となり、会社は解散する、借家も立退くことになつて、立退きをきつかけに、案外面倒もなく女と別れることができた。実際はいくらかみれんもないではない女なのだが、女の方が却つて潔く身をひいたので、妻子のある男とみれんがましくかゝずりあつてゐるよりも、自由の天地らしいものが行く手にひらかれて見えたからであらう。

そのとき立直ればよかつたのだが、解散のどさくさに儲けた仕事が手蔓になつて、闇屋をやり、その景気が封鎖の直前ごろまでつゞいた。立直るといつても、元々好かない女房だ。気のすゝまぬのも尤もで、その女房への気兼ねから女と別れたことも口惜しく、いくらかの女のみれんが、よほど大きなみれんのやうにも思はれてくる。別れた当座大いにホッとしたことも忘れて、実は内心ぐれだしてゐた。

会社の借家を立退いて、彼がやうやく見つけだした一室といふのが、焼跡の高台に小さく取残された一劃で、昔はどこかの番頭だといふ老人夫婦の侘び住居だ。