Classiques japonais avec furigana
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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Lisez 母子叙情 (ぼしじょじょう) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 77 355 caractères · 153 écrans
けれども青年の手紙の一つより一つへと、だんだんかの女の心が惹かれてはいた。かの女はあの夜の自分の無暗な感情的な行為に自己嫌悪をしきりに感じるのであるけれど、実際は普通の面会請求者と違って、これはかの女の自分からアクチーヴに出た行為の当然な結果として、かの女としてもこの手紙の返事を書くべき十分の責任はある。かの女はやがてそこに気づくと、青年に対する負債らしいものを果す義務を感じた。けれども、それはやや感情的に青年に惹かれて来ているかの女の自分に対する申訳であって、なにもかの女がほんとうに出し度くない返事なら出さなくて宜い、本当に逢い度くないなら逢わなくても好いものをと、かの女の良心への恥しさを青年に対する義務にかこつけようとするのを意地悪く邪魔する心があり、かの女はまた幾日か兎角しつつ愚図愚図していた。するとまた或日来た青年の手紙は強請的な哀願にしおれて、むしろかの女の未練やら逡巡やらのむしゃむしゃした感情を一まとめにかき集めて、あわや根こそぎ持ち去って行きそうな切迫をかの女に感じさせた。それが何故かかの女を歯切れの悪い忿懣の情へ駆り立てた。
「馬鹿にしてる。