Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ははおや

母親

若杉 鳥子

Lisez 母親 (ははおや) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 750 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

方々で出水や崖くずれの噂が高かったが、みを子の消息などは少しも知れなかった。母親は一刻も娘のことが忘れられなくて、その日その日の天候と一緒に、荒れ狂うような気持ちだった。

するとある日、池田まさ――という知らない人から一通の手紙が来た。彼女は慄える手で封を切った。

前略、みを子氏こと山崎氏の関係にて検挙され、その後行方不明の処、昨日Y署に留置されていることが、やっと解りました。早速Y署へ、本人引き渡しを交渉されたく願います。家族の方が行かれるのが、一番都合よろしいと存じます。早々。

悦びと驚きと、彼女の頭は混乱した。直ぐ仕度をして出掛けた。市電を下りて駈け込むように警察の門を入って行ったが、係の者がいないといって拒絶された。それから彼女は、毎日のようにY署へ行った。特高に何百遍も頭を下げた。

そしてある日の夕方――母親はやっと娘を引き渡して貰った。

「みを子――」

蝋のように蒼ざめ、透き徹った娘の顔を見ると、彼女はただ胸が一ぱいになった。

もう袷を着る季節だのに、みを子はまだ、家を出る時に着ていた絣の単衣を着たままだった。母親は風呂敷の中から羽織を出して着せた。