Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lisez 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 533 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

牛込の邸には、博士が死んでから、世間の迫害に驚いて、雇人は住み付きませんが、それでも、正平爺やの外に、博士の助手をしていた滝山達郎と、その妻の三枝子が住んでいるので、綾子がいなかったところで、なんの差支もありません。

綾子はその日の夕方、鎌倉の翠川家の別荘に着きました。主人は有名な実業家ですが、長男の健一は水泳の選手で、十八歳になったばかりですが、幾つかの日本選手権を持っているほどの快青年、妹の燿子は、綾子の学校友達で、綾子より一つ上の十五、これは五月の陽のような朗かで、採りたてのトマトのような新鮮な感じのする少女でした。

翠川一家――健一も燿子も、立花博士の平泉館発掘の事には一言も触れないようにして、毎日、毎日、唯もう面白く遊びました。

由比が浜の泳、鎌倉山の遠足、或時は八幡様へ、或時は七里が浜へ、勉強も運動も精一杯するといった生活が、十日ばかりの間に綾子をどんなに快活にしたことでしょう。

この生活が一箇月続いたら、綾子の健康も気持も、すっかり変ってしまうのではあるまいか――と翠川一家の人達が言っていたのも無理のない事でした。健一と燿子は、健康と快活とを撒き散らして歩く、二人の妖精みたようなものだったのです。