Classiques japonais avec furigana
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すいめんにうかんだおんな
水面に浮んだ女
田中 貢太郎
Lisez 水面に浮んだ女 (すいめんにうかんだおんな) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 721 caractères · 10 écrans
平兵衛は浮田秀秋の家臣であったが、その秀秋が関ヶ原の一戦に失敗したので、彼も浪浪の身となって加賀の知人を頼って来ているところであった。
「もう中納言様のことは云うな、人は運不運じゃ」
「それでは、家のことは心配なさらずに、土州へ出発なさいませ」
「では、明日中に、家の始末をしておいて、出発しよう、あの感状も、そのままにして置くから、うしなわないようにな」
小河平兵衛は予定のとおりその翌日加賀を出発して土佐へ往った。土佐では山内家の二代忠義が一豊の後を継いで、土佐藩の藩主となっていた。深尾主人は平兵衛を家の珍客として歓待した。そして、これを忠義に推薦した。忠義は彼の武功を聞いて、彼を抜擢して高岡郡の郡奉行にした。
平兵衛は高岡郡の奉行所へ移った。そして、加賀にある妻を呼ぼうと思っていたが、気の広い彼は何時の間にかそれを忘れてしまって、土佐の壮い女を妻にして男の子を産ませた。平兵衛はその小供に平三郎と云う名をつけて可愛がった。
加賀に残って夫の留守を守っていた元の妻は、二年経っても三年経っても、平兵衛が迎いにも来なければ使もよこさないので、ああして往ったものの土州でも思うように運が開けないから、それがためにこんなことになっているのだろうと思っていたが、それにしても余り音信がないので、土佐の方へ往く人に頼んで夫の