Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

Lisez 水鳥亭 (みずとりてい) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 705 caractères · 62 écrans

Aozora Bunko

野口の自宅も工場も焼けていた。焼跡へ行ってみると、野口夫妻と子供たちが、墓の中から出て来たように、顔も手足も泥まみれに、かたまっていた。

みんなおし黙ってニコリともせず彼をむかえた。

「みんな焼けましたよ」

野口はつぶやいた。何も言いたくない、というような、不キゲンな声だった。

「私もみんな焼きました。残ったのは、私の着ているものだけです」

「命が助かっただけ、しあわせです。しッかりしなさい」

険悪な顔、噛みつく声であったが、亮作には、人間味がこもって、きこえた。

すがりつきたい思いであったが、野口の手を握るだけで精一ぱいであった。なつかしさに、胸がはりさけるようだ。彼は嗚咽して、数分は言葉もなかった。

「しッかりしなさい」

野口はやさしく彼の肩に手をかけた。

「私はバカでした」

亮作は、しゃくりあげた。

「そんなことを言っても、どうにもなりゃしませんよ。夥しい屍体を見たでしょう。利巧な人も、たぶん死んでることでしょうよ」

野口は相変らず不キゲンだった。彼は死と闘ったのだ。助かるための努力だけが、怖しい一夜の全部であった。

亮作も死に追いつめられた一夜の恐怖は忘れることができない。