Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こおりぐらのにかい

氷蔵の二階

宮本 百合子

Lisez 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 201 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

「結構よ、これで――でも、あなた親切なのね、有難う。……体どんな?」

「同じだわ」

「国へ帰んないの?」

房は苦笑した。

「だって――あなただって威張って帰れなけりゃいやでしょう」

志野は、強く否定した。

「私とは違うわ、あなたんとこなんかお金持じゃあないの、自分の好きでただ来てるんでしょう、だもん……」

「喧嘩して来たんだから、いや」

「頑固なひと!――あなたみたいにいつまでも学生みたいな人ありゃしないわ――そのままにしていたら、だって、悪くなるばっかりよ。死んじまってよ」

「お暇いただいて、呑気に養生するわ」

志野は、顔をしかめるようにして尋ねた。

「養生するって――どうするのあなた、今の家やめたら……困るでしょう」

「三月や四月遊ぶ位のことは出来るのよ」

二人は、それぎり黙って、房の土産のバナナを食べた。突然、志野が弾んで天井にぶつかりそうな調子で云った。

「いいことがあるわ! あなた、ここへ来るのいや?」

房は、とっさ、返事に窮した。

「そりゃ、家は随分穢いけど、呑気は呑気よ、なまじっか、素人家にいるよりよくてよ。室だってちゃんと一つ一つ区切れてるから。――私は、どうせ昼間一杯留守なんだから、あなたの好き自由だし――あなただっていきなり知りもしないところで間借りしたって、きっと淋しくって仕様がないに定ってるわ」