Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こおりぐらのにかい

氷蔵の二階

宮本 百合子

Lisez 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 201 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

町が東と西とになっていたのよ、その紅梅町っての! いいえ、ただ紅梅町だけですって云うと、巡査ったら、ニヤニヤ笑うのよ、あなた。そして、何番地かって。千六十九番地ですって云うと、そんな番地どこにもありゃしないってんですもの、私――」

志野は、

「ああ、思い出しても厭んなっちゃう」

と吐息をついた。

「でもね、今中さんてお産婆さん、親切だったから私助かったのよ、ひょいと看板を見て入ったんだけど。……そのお婆さんがここを知っててね、それで私来るようになった訳なのよ、実は――」

房は、その辺まで律に聞かされていた。その時から、彼女の気になっていることが一つある。房は、低い声で訊いた。

「――そいで――どうしたの――その生れた……」

「ああ」

志野は、早口でさも事なげに答えた。

「一週間ばかりで死んじゃったわ」

それをきくと、房は何故だかぞーッとした。

五

「ねえお志野さん」

或る夜、房はしみじみと云った。

「――あなた……いつまで今の局にいる積り?」

志野は、罪のない訝しげな表情で房を見た。

「何故?――いきなり……」

「――いい加減にして国へお帰んなさいよ」