Classiques japonais avec furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lisez 沙漠の古都 (さばくのこと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 110 076 caractères · 220 écrans
博士は幾度も頷いた。
この言葉が讖をなしたのか、果然、その晩、季節はずれの暴風が一夜吹きつのった。そして眼の前の砂丘の上へ石の標柱を現出した。それに刻まれた回鶻語を博士が朗々と読んだ時、ラシイヌもレザールもダンチョンも息をひそめて傾聴した。
我らの国家亡びんとす。キリスト教徒は我が敵なり。
巨財を砂中に埋ずむべからず。南方椰子樹の島国に送る。形容は逆蝶。子孫北方に多し。
三羊皮紙に内容を書し亜細亜の天地にこれを送り、一柱二晶に解釈を記す。
「形容は逆蝶、子孫北方に多しか……」しばらく経ってからこう云ってラシイヌはじっと考えた。と不意にクルリと身を翻えして天幕の方へ馳せ帰った。万国地図を取り出して彼は仔細に調べだした。
「諸君、解った。濠州だ」ラシイヌは元気よく云い放った。
「見たまえ濠州のこの形を、逆にした蝶にそっくりだ。北方の海中に島が多い。だからすなわち子孫多しだ。思うに古代の回鶻人は国家の亡びるその際に財産をあげて南洋へ送り濠州のどこかへ隠したと見える。そしてその事を水晶の球と石の標柱とに記したのだ。それから三枚の羊皮紙へ暗示的の文章を書き記して亜細亜方面へ送ったと見える。