Classiques japonais avec furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lisez 油地獄 (あぶらじごく) de 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 34 624 caractères · 69 écrans
歌舞伎座が大入ですとさ、姉さん御覧なすってと小歌が云う、そうだって見たいのねえと婢が云う、それから両女は話が栄え、蠣浜橋へ毎日お参りに行く事、髪結を取替た事、梅月で誰かに汲で遣った湯の返しのなかった事、常磐屋で大臣さんにお目に懸った事、船で花見の約束に行った事、こちらの室からもしきりに笑い声が漏れるようになったが、それでも貞之進の声は交らない。過日の方はあれから入来って、あの翌晩おひとりで、そう可笑いんだよ玉ちゃんが大変岡惚して、風采のいゝ方ねえ、あら姉さんも、何だね厭に気を廻すよ、だって風采が好って、風采の好のはまだ外にあるの、御馳走さまどこに、どこにって泣通したじゃないかと云うと、小歌は婢の口を抑えるようにして、あれは言ッこ無し黒の羽織には懲々したと云て、貞之進が黒の羽織を着て居るのに心附き、あなたのことではありませんよと、撲いた烟管をふっと吹き、昨宵も逢た癖にと婢が云うのを聞ぬふりで、あんな酷い方はないのと紙入に巻いてある紙を取出し、それで所在無さに煙管掃除が始まった。「でしょう」などと前後のない詞があって、貞之進は何を話す