Classiques japonais avec furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lisez 油地獄 (あぶらじごく) de 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 34 624 caractères · 69 écrans
ような心持だ。
酒に寛ぐのが懇親会の趣意なら、席の乱れた時が興の登った時で、歌うのもある、踊るのもある、あの男がと思うようなのがこういう時に落を取って、それでも「花の曇り」を知って居たぜと、後日何かの折の紀念となるのだ。貞之進はぐっと一思いに猪口をあけて、隣の男へ返そうとしたが、生憎向うむいて一心に談話を仕て居るので、何と云って呼んでいゝか分らない。ちょうどその時向う側の上の方で、前づらの少し禿た男が御返盃と云ったのが耳に入りいかさまあの通り遣るのだとは思ったが、どうしたことか声が旨く出て来ない、出て来ないのではない出て呉れない、仕方がなく一度膳へ戻して、黙って再び出した猪口へ相手の肱が当って、初めて気が附いてヤ失敬と受けてくれたので貞之進はやっと安心した。けれども酌する者が居ない、自分が手を出すことは知って居たがやっぱりその手が出兼ねて躊躇って居ると、先隣りから手が出て銚子を取かけたところへ、おや恐れ入りますと云って坐った芸妓がある。貞之進は重ね/″\の不首尾を他は知らぬが自分が咎めて、もうちっと早く此芸妓が来てくれゝばと、縮くみながらふと見るに、歳は十七八細面の色白、余は貞之進に見えて見えなかったが、その時まだ「出」