Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はたのてい

波多野邸

豊島 与志雄

Lisez 波多野邸 (はたのてい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 194 caractères · 45 écrans

Aozora Bunko

ところで、僕はこれで失礼します。」

人の心を或る方向へ傾けさせるには、議論を封じて言いっ放しにしておくのが最も効果的だと、彼は信じていたらしく、そのまま立ち去りかけた。裏木戸からの研究所への出入口は、休みには閉め切ってあり、彼は玄関の方へ向った。

千枝子は小池を顧みたが、小池はまるで無関係な者のように、薄すらと晴れてゆく空を眺めていた。

千枝子は儀礼上仕方なく、山口を送っていった。

玄関で、彼は囁くように言った。

「奥さんのところに、吉村さんが見えていましたよ。あの人、僕とは話がしにくいとみえて、殆んど口を利きませんね。いったい、小説家というものは、男に対してはひどく無口で、女に対しては愛想よく話をする、そういったものかも知れません。」

山口の横額にある薄い汚点、なにか火傷か皮膚病かの名残りとも見えるその汚点に、千枝子はぼんやり眼をとめていた。

機械的に彼を送りだして扉を閉めきると、彼女はそこにちょっと佇んだが、それから、玄関わきの応接室にはいって、ソファーの上に身を落した。

吉村さんとも遠くなった……とそれだけの思いだった。――以前、彼女は吉村篤史のところへ出入りして、文学上のいろいろな話を聞くのを楽しみにしていた。