Classiques japonais avec furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lisez 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 305 caractères · 321 écrans
ハンケチで目を押えてさびしそうに彼女はそこらの食べ散らしを片づけ始めた。小倉も彼女に手伝って、七輪などをかたわらへ寄せた。
二〇
寝床はそこへ敷かれた。それは一つであった。枕も男枕が一つッ切りであった。
「どうしたんだい、お前さんはなぜ泣いたりしたんだね」と小倉は、そのまま床の中へもぐり込みながら、気の毒そうに聞いた。
「私はね。この家へ来てから、あんた見たいな人に会ったのは初めてなの。初めの間は、私もあなたを『お客』だと思ってたの」といいながら、彼女は枕もとの火鉢の前へ、生娘がするように、つつましくすわって、はにかみながら話した。
「だけど、だんだん話したり、聞いたり、見たりしたりしてるうちに、あなたは船乗り見たいじゃないように思えて来たの。私ね、こう思ったのよ。この人はきっと間違えてここへはいったんだ。そうでしょう。ほんとに牛肉のすきやきだけしか食べられないところだと思って来たのでしょう。そういう人の前へ出ることは私たちには恥だとはあなたは思わないの。相手が野獣であるときだけ、私たちだって野獣にもなれるのよ。私たちは、何でものろってやるわ、何でも、神様や仏様なんぞ、とっくの昔に、のろって、私はそばに寄せ付けないようにしてるわ。