Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うみのかなた

海のかなた

小川 未明

Lisez 海のかなた (うみのかなた) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 028 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

少年は、おじいさんが、腰かけた石のところにやってきました。ありありとおじいさんが、いつものように、小さな箱を脊中に負って、バイオリンを持って、石に腰をかけている姿が見えたのです。

「おじいさん!」

少年は、こう呼びました。しかし、応えはありませんでした。

彼は、自分の手に、いまおじいさんの持っていたバイオリンのあるのに、はじめて気づきました。そして、おじいさんは、海のかなたへいってしまったのだと知って、かぎりなく悲しかったのです。

彼は、その石に腰をかけました。また小さな姿で、その石の上に立ちました。そうして沖の方を向いて、おじいさんから教えてもらったバイオリンを弾くのでした。

少年は、おじいさんのことを思うと、胸がいっぱいになりました。いつしか自分の弾いているバイオリンの音は、悲しい響きをたてていたのでした。

海鳥は、しきりに鳴いています。頭の上の松の木を渡る風の音まで、バイオリンの音に心をとめて、しのび足して過ぐるように思われました。

いつしか、村の子供らまで、松蔵の弾くバイオリンの音を、感心して聞くようになりました。

松蔵は、おじいさんがいなくなっても毎日のように、城跡の石のところにきて、おじいさんがしたように、沖の方をながめながら、熱心にバイオリンの稽古をしたのであります。