Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かいりゅう

海流

宮本 百合子

Lisez 海流 (かいりゅう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 35 977 caractères · 72 écrans

Aozora Bunko

瑛子には特に井上が、加賀山にもこんな頭の悪い奴が出るんだねと、さわ子を評して云った言葉が忘られなかった。若い嫁であった自分を苦しめた、かたくなな姑の伊勢子の顔がまざまざと甦った。あの血が或る時の泰造にもやっぱり流れている。そして、子供らの中にも恐らく不可抗的に流れこんでいるだろう。それで苦しむのは自分だけである。そして、そんな良人を持ちたいと、そんな子供を生みたいと、女としての自分がいつ願ったことがあるだろう!

生活に対する瑛子の怨恨はいつもここまで遡った。揺蕩たる雰囲気に包まれて書かれ、語られる新婚の生活も、瑛子の現実ではまるで違ったものであった。恋をせずに母とならされて来た一人の女の情熱と肉感とが、成熟の頂点、将に老年が迫ろうとする隠微な一生の季節、最後の青春の満潮時である今、猛然と瑛子をいためつけるのであった。

いけてあった火鉢の火をかき立てて、自分用の九谷の湯呑に注いだ茶を飲みながら、凝っとテーブルの一点に据えている瑛子の睫毛の濃やかな眼から、一滴ずつの涙があふれて来てしずかに頬っぺたを顎の方へ流れた。それは、鹹い、冷たい二筋の涙であった。